私見メキシコの漁師

2018/10/8
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金輝俊 / Hwi Jun KIM

筆者は2016年の初めにメキシコの漁師を目指していた。

前職は外資系グローバル企業のプロジェクトマネージャー。毎朝クライアントとのテレカン(電話会議)。たまにド キュメント、例えばアーキテクチャ仕様書の説明のための臨時テレカンが入ると朝8:30からテレカンを開くときも あった。当然、自宅から出社していては間に合わない(自宅からテレカンをできない時もあった)ので、会社の近 くにホテルを借りて、タクシーを飛ばして、出社。また、夜遅くまでドキュメントを作成。シェアした上で23時にタク シーで高速を飛ばして帰宅など。ハードな日々。

さすがに疲れて、他の要素も出て、無理が出てやめた。そして、前から一度やってみたかった、メキシコの漁師 になれないか、考えてみる。もう日本に居る意味もないので、シンガポールかロンドンに行くことも検討。M.Phil ホルダーなので、イギリスでは、労働許可証でなく、滞在許可証であるTier1 Generalが取れるのである。この 滞在許可証は強力でスポンサー企業がいなくても、金さえあれば二年間くらいブラブラしててもいいのである(注 記として、同許可証はOxford MBAでもUniversity College, London -ロンドン大学-のMsc -Master of Science-でも取れない)。そんな中、個人事業主、準委任で週3日の常駐で契約ができることを知る。さっそく エージェントに登録し、とんとん拍子で面談がセッティングされ、契約をした。

面談で話した内容は主においしい食べ物屋についての情報交換。ぶっちゃけ、家から近いからそこに決めた。 報酬は週3日の常駐で40万円/月。

これで、メキシコの漁師に実際なった。週休4日の生活。土日、月火の四連休が続く。かなり楽。筆者は昔から、 500万円/年あれば十分かつ、それ以上、収入が上がってもあまり変わらないと思っていたので、これで十分だっ た。平日昼間に、好きな街に遊びに行ったりで、大満足。

個人事業主だったが、当時は株式会社成りの当落線上にいて、当時のフルアロケーション収入だと、シンガポールのコンドに住んでもいい。東京のタワマンでもいい。だが、1LDKで10万円/月とわざと安い賃貸に住んで、まったりライフをできるようにしていた(実は同じ家賃で神奈川県山側の2LDKのマンションや湘南地方で 2LDKの一軒家を借りられる)。マックスで年間収入1000万円くらいはいくが、抑え気味で500万円とか400万円も生活と余暇が成り立つようにしていた。

参画した会社はWebとSIのハイブリッドのような企業。フロントはECだが、内部のプロセスなどはSI流。当時、 開発部隊はなんとなくの合意とスケジュールがあったが、もしや、全体をちゃんと把握している人がいないので は、とプロジェクトマネージャーの道具をいくつか使って、可視化、全社員とシェアしていた。例えば、ロードマップ を引き、全社員とシェアしていた。ただし、自分は部長などではなく、あくまでも一エンジニアである。

仕事は週3日のみであるが、リリースペースにはちゃんとついていくことができるというより、開発スピードが速い 人扱いであった。データ分析もGoogle Analyticsのアカウントを参画二日目から、こちらから言ってもらい、勝手 に行っていた。面白い分析ができるとYammerで全社員とシェア。そして、議論。ついでに、インターンの大学生 もいるので、神大生に分析や作文などを仕込んでいた。

頼まれて、3-4ページのマーケティングレポートを出したり、勝手にマーケティング部のCheck and Adaptという カラーチャートを使った部門の評価を行って、執行役員と共有、部門改造を行ったりしていた。

そうして、本気をちょっと出していたら、三か月くらいで正社員に誘われた。しかし、一回断る。なぜであろうか? やはり、週休四日や半年働いて、半年休むワーキングスタイルを取りたかったからである。一回断ったが、やは り、アクセプトし、正社員に。業務委託のメンバーのメルアドにもラクスルの購買データが流れて来たり、ほぼほ ぼ情報の透明性が保たれていて、かつ、ビジネスとハッカー両面の文化もある組織だったので、加わった。

そして、さらに本気を出して、正社員化二か月で上級管理職 兼 上級専門職である室長 兼 スペシャリストに。リスク分析を主軸とし、組織改造を徐々に行っていく。そして、最後に残った問題であるマーケティングに切り込み、そこでマーケティング施策フレームを提案。その後ほどなくして、10億円ほどの増資が決まった。

また、個人事業主にもどり、まったり気味でフレームワーク開発。あれ、これって、メキシコの漁師そのもので は?ミスったのは、べスティング付きの未上場でも相対で売買できるストックオプションを仕込まなかった事。 4000万円くらいのボーナスをもらっても良かったはず。ボーナスはさておき、これから、40年くらい、個人事業主 でまったりやっていく。メキシコの漁師は引退や年金で旅行三昧の豊かな老後、などは考えていないのである。 もう、企業でやることは一通りやったので、やはり2016年の最初にもどり、ずっとメキシコの漁師的にまったり やっていくであろう。

ただし、開発中のフレームワーク(toy framework)はオペレーションあるいは税と社会保障用のシステムのため の世界最高のフレームワークを目指す。実際、当該フレームワークではJavaとC#を混ぜることもできる。また、 それにともなって、既存のシステムをサブシステム毎に徐々に載せ替えることもできる。当然、サブシステム間の 連携はできる。現在、PHPでプロトタイピング中であるが、後にGNU/Java、ScalaあるいはOCamlバージョンも作るかもしれない。

メキシコの漁師を一生続けるが、仕事はマジ。