ベンチャーのexit戦略

2018/10/25 euler.bonjour@gmail.com / https://github.com/khj1977
金輝俊 / Hwi Jun KIM

普通ITベンチャーは全力で事業構築を行い、単黒にし、利益を出せる体質にして、それを強化し、最終的に上場 を目指す。

上場するには一定程度の売り上げと最終利益が出ている必要がある。簡単のために、銀行借り入れなどがな く、最終利益あるいは純キャッシュフローの変わりに営業キャッシュフローを見ればいいことにしよう(あくまでも キャッシュフローである。営業利益はいくらでもドレッシングできる)。

DCF的に考えると株価は利益の関数である。では、永遠の成長、すなわち、永遠の株価の値上がりなどあるの であろうか?答えは否だ。営業キャッシュフローはどこかでサーチュレイトして止まる。よって、株価の値上がりも 止まる。

優良企業で株価の値上がりが止まった好例にマイクロソフトがある。マイクロソフトはずっと配当を出していな かったが、株価の値上がりが止まったために、配当を出し始めた(マイクロソフトは実に賢い。なんと彼らは MSOfficeを買い切りから、年間サブスクリクションにしたのである。これで、マイクロソフトは一生安泰であろう。 筆者はMacユーザーだが、MSOfficeは使っている)。

一方、Facebookは十分にマチュアの状態で上場したので、あまり株価の値上げは期待できないであろう(株価 は追ってないので、多分)。株価ってなんだろう?株ってなんだろう?そんなに値上がりが必要なのであろうか? 答えはマイクロソフトの例で明らかであろう。株式は配当を受け取れる権利と経営に口出しできる権利がついた クーポンである。

さて、ベンチャーはexitしなきゃいけない。既存投資家はアーリーステージ、ミドルステージで億単位の増資を割 り当て、億単位の金を張る。これから、ROI1.5倍とか2.0倍とか出して、儲けないといけない。キャピタルゲイン でもうけられる前提として、株式を張った瞬間に株価は低価格であるとなっているが、企業価値の算定が仮に精 密にできたとすれば、サヤを抜くのは難しいはず。なぜなら、DCFでは未来の価値を織り込むからだ。ここまで 考えるとやはり配当で利益を得る方が賢いとなる。

配当は未上場でも得ることができる。では、上場は本当に必要なのであろうか?上場に対する一般的なイメージは「かっこいい」であろう。数年前のリクルートの上場?の時も筆者の回りでそういう反応はあった。筆者はそうは思わなかったが、あえて黙っていた。会社サイドから見れば、第三者割当増資による資金調達は上場しなくてもできる。公募はできないのかもしれないけどね。別に会社のイメージがかっこいい、である必要性はない。株主サイドからみれば、配当で儲ける事は 未上場でも可能。であれば、ここまで書いた事を勘案して、別に上場しなくてもいいのではないだろうか?

儲かること、配当を出せる事を前提条件にして優良中小(別ドキュメントに書いてある意味で)っぽく運営してもいいのである。