共産主義経済、資本主義経済、株式上場とWeb系企業

2018/10/20
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金輝俊 / Hwi Jun KIM

共産主義の始まりってなんだろう?もしかして、トラクターなどの農業用機械をみんなで共有して、畑を耕して、 みんなハッピー的な発想からはじまったのかもしれない。ついでに、畑も共有物なのかもしれない。共産主義 は、あくまでも、ブルジョアジーのアンチテーゼと始まった可能性もなくもない。キーワードは資本/資産の共有。 別に専門書を読んだわけではないので、あくまでも筆者の予想。

IT業界、特にWeb業界ではGNU/Linuxは標準。WebではMySQL、Apache、PHP/Perl/RubyなどのGPLライ クなライセンスでのミドルウェアも標準(Apacheライセンスなど色々あるが、詳細は割愛)。GPLではソフトウェア を無償で公開するのを義務付けている。これによって、みな、ソフトウェアを共有できる。GPLの派生物はGPLで 提供される。

Web系企業はだいたいにおいて、LAMPスタックすなわち、GNU/Linux、Apache、MySQL、PHPでシステムを 構築し、全力で事業を回し、exitを狙う。LAMPスタックでシステム構築 = 共有物でのシステム構築。農業に例え ると共有物で畑を耕しているのに等しい。さらにいうと、畑も共有物でもいいのかもしれない。ちょうど、AWSで 仮想サーバーを間借りできるように。

なんだか、システム構築のところだけなら、共産主義っぽい。でも、事業構築は違う。BSからPLを生成し、取引 先に報酬を払い、従業員に給与を払い、広告費を出し、事業を回していく。常に営業キャッシュフローやEBIDTA との戦いとなる(あくまでも営業キャッシュフロー。PL上の営業利益ではないのである。営業利益はいくらでもド レッシングできる)。

そうして、システムを構築し、ビジネスを回し、インクリメンタルにシステムを改良していくうちに、売上、最終利益 共に伸び、exitしたとしよう。本来ならBSにOS、DB、Webサーバー/アプリケーションサーバー、言語などがの り、それによって、PLを生成し、キャッシュフローを生み出し、上場となるのだが、ソフトウェアをBSに乗せず、共 有物で乗り切ってしまうのが、Web業界の面白いところ。資本主義の権化と共産主義的な考え方がマッチしてしまったのである。

Web業界は情報(ブログ、ソーシャルブックマーク)、コミュニケーション(LINE、Skypeなどのメッセンジャー)、 EC(流通、販売)からなる。いずれも社会の公共物に近く、また、原理的にあまり儲からない(だから、みな、ゲー ムに群がりマネタイズする)。共産主義的にOSなどを共有し、資本主義の原理によって会社をドライブした結 果、共産主義的に新たな情報プラットフォームを構築し、共有していくのである。

1990年くらいにソ連と旧東ヨーロッパの体制崩壊によって、共産主義と社会主義は否定された。しかし、共産主 義は生きていて、その考え方はあながち間違いではなかったとWeb業界とそれが生み出す経済、社会によって肯定されたのではないかと考える。