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金輝俊 / Hwi Jun KIM
- 研究の目的: 機械システムのエネルギー消費を抑える事
- 研究の題目: スマートマテリアルシステムのための適応ロバストコントローラーの提案及び、漸近安定性の証明
- 研究提案書:Control Problems Arising on Smart Structural Systems (1.デジタルラグランジアンの提案 2.デジタルラグランジアンを使用したスマートマテリアルシステムの物理モデリングと制御問題の提案)
- Master of Philosophy論文:Disturbance Estimation and Cancellation for Linear Uncertain Systems (線形スマートマテリアルシステムを前提とした適応ロバスト制御アルゴリズムの提案と漸近安定性の数学的証 明。及び、その応用)
- Master of Philosophy論文、一部抜粋
本文章では上記M.Phil論文、Disturbance Estimation And Cancellation for Linear Uncertainについて解説 をする。本文章はこの段落までを除いて、2013年に書いたものである。基本的には上記論文のsummaryと further workへの補足であるが、大学院在学中だった2004年当時、いくつか、念頭に置いていなかった事を追 記している。
上記論文ではスマートマテリアルシステムをロバストに制御することを諦念に制御アルゴリズムとdisturbance observerの組の提案とそのロバスト性の証明をおこなった。上記論文のスコープは理論的に、ある一定クラス のシステムのロバスト性を示すことである。ただし、実際の場合ロバストに制御するためにはいくかの問題点が 残っている。実験はスコープ外である。
(注:ただし、制御対象はスマートマテリアルシステムであるとは限らない。) スマートマテリアルシステムとは例えば、CFRPとピエゾマテリアルを複合材料としてあつかい、電圧をかけて、 制御可能な材料をさす。
Disturbance observerを用いてロバストに制御する場合の基本的な考え方は単純で以下に述べる通りである。 モデリング誤差と離散ラグランジアンでの離散化誤差とパラメーターの誤差とその他の外乱についての不確定 を考慮に入れている。Disturbance observerでロバストに制御する場合、検出したそれらの誤差を制御入力と して入力することによって、不確定性を打ち消す。ただし、全ての制御の不確定性を打ち消せるとは限らない。
制御アルゴリズムは考えれるうち、もっとも単純な形式を用いた。その理由は上記論文の目的がdisturbance observerを用いたsystemのロバスト性を示す第一歩にあり、証明可能なレベルに落とす必要があったからであ る。transient responseの収束時間などを考慮していない。したがって、制御アルゴリズムは考えられるうち、最 も単純な形式を用いた。ただし、そこを改善するために、いくつかの補題を追加すれば、ある種のnon-linear gain shceduling controllerのロバスト性を証明できる可能性があると予想する。
一番簡単な形のスマートマテリアルシステム、例えばプレートをホストマテリアルとするものは普通、偏微分方程 式でモデリングされるが、ラグランジアンを離散化(離散ラグランジアン。originalのresearch proposalではdigitalラグランジアンと表記したはず)して、プレート上の離散点について偏微分すると高次元の連立常微分方 程式がえられる。ただし、離散点の間隔を無限小に縮めると無限次元の連立常微分方程式になる。直感的には 二次元の場合の多関節ロボットアームでジョイント部分が弾性体でアーム部分が剛体で長さdelta Lでdelta Lが 十分に小さい場合を考えればよい。したがって、アクチュエーターとセンサーがあれば制御できる。また、ピエゾ マテリアルがセンサー兼アクチュエーターになる。したがって、制御対象となる。
スマートマテリアルシステムで材料に制御をかける利点の一つはエネルギー消費量をおさえらえる可能性があることである。スマートマテリアルシステムのロバスト制御の応用分野として考えれるのは自動車のシャーシあるいはボディ、また、飛行機の羽やボディなどが考えられる。スマートマテリアルにより材料に制御をかけるとエ ネルギー消費が減る可能性がある。例えば飛行機の羽を軽量化した場合、より振動しやすくなると考えら得る。 したがって、ある一定以上の軽量化あるいは薄型化はできないと考えられる。材料の振動をロバストに制御可 能な場合、制御がかかってない場合に比べて軽量化でき、最終的に例えば飛行機ならエネルギー消費が押さえられ可能性がある (ただし、個人的なモチベーションは自転車のロードのフレームの振動吸集特性を制御する ことにある。振動吸集特性を制御すると高速で走りながら、より疲れにくくなり、結果速くなると予想した。プロロード選手が使うことを想定している)。
上記論文にあるoutput制御ははっきりいって、駄作。また、residual uncertaintyの節も要らないケースが多い。 可制御性と可観測性について物理的に考察すると、ピエゾマテリアルをプレート全面にしきつめ、ラグランジアン の離散点の間隔を十分に小さく取ればnominal systemは可制御かつ可観測に収束すると予想される。したがって、output制御とresidual uncertaintyの節は必要ないと考えられる。
また、離散ラグランジアンによって得られたnominal matrixはかなり高次元になると予想られるので、仮にDAコ ンバーター経由でCPUなどを通してアナログ制御する場合はかなりの計算量になると予想される。具体的に必 要なnominal matrixの次元によるが次元が高すぎる場合は高速なプロセッサーかあるいはそれらを複数用い た並列分散処理が必要となると思う。(ほとんどの計算が線形のため、並列分散処理が可能)
Disturbance observerと制御アルゴリズムと対応する、制御手法のデジタル版があった場合、ロバスト性や計算量がどうなるかは未知数である。
ピエゾマテリアルの精度などについても未知数なところがある。
nominal systemが非線形の場合、各点についてテイラー展開した行列が仮に任意の時間tについて、可制御、 可観測かつであれば、nominal systemが非線形でも上記論文で提案したdisturbance observerでロバストに 制御できる可能性があると思われる。
nominal systemの非線形性を制御入力によって打ち消すことは考えていない。なぜなら、その場合制御入力 が大きくなり過ぎ、入力の上限に達した場合、事実上制御不可能になるか、制御入力がなんらかのエネルギー を消費する場合、エネルギー消費が大きくなり過ぎ。あまり賢いやりかたとは思われないからである。
上記論文では高次元線形システムのdisturbance observerを用いたロバスト性について数学的に証明した。 理論的にはロバストに制御可能であることを示したが、計算量の問題や制御入力の最大値あるいはピエゾマテ リアルの精度などの問題があるため、必ずしも実際の場合にロバストに制御可能かどうかは当時の段階では未 知数なところがあった。また、証明可能にするために制御アルゴリズムを単純にしたため、少なくともtransient responseが悪いと思われる。ただし、理論的にはロバストに制御可能であることを証明した。